ICM Mar.12, 2009: ICM2008-58-66

12日午前中分。
[ TDMA 型無線メッシュネットワークにおける負荷分散および電波干渉軽減のためのスパニングツリー構築法 ]
無線のマルチホップ網を使って、バケツリレーで外に出る。でも、これだとゲートウェイノードに通信が集中する。それから、リンク間の電波干渉も問題。
blocking metric をもとに電波干渉を抑えるツリーを構築。
ゲートウェイノードを複数設置し、アクセス回線の利用率を均等化するために、どこから外に出るか、というのを最適化する。
スループットは最大 3.1 倍。経路なんかを計算するのは 200 倍速い。
ホップ数の増加による伝送遅延が心配、とのこと。
O(n^4) が O(n^3) に抑えられそう、というのはなぜ? → ツリーの構築が O(n^3) で、ホップ数の閾値を変えながら最大 n 回のツリー再構築が必要だが、実質的には 1 回か 2 回ですみそうなので。
これは電波干渉を計算するために、事前に配置情報がわかっていないと使えないんじゃないかなー、と思うのですが、おとなしくしてました。
[ 無線メッシュネットワークにおける電波干渉および経路長を考慮した電力制御手法 ]
無線の出力レベルを制御することで電波干渉を減らす。干渉が減れば、TDMA でもたくさんのタイムスロットが取得できる。でも、遠くまで飛ばなくなるので、ホップ数が増える可能性があって、バランスをとることが重要になる。
電力制御は集中制御で行う。
方法1: ノード次数を見る
ほかのリンクとの干渉の可能性が高い、次数の大きなメッシュノードがもつリンクを削除
方法2: ノードの干渉数を見る
干渉領域内に存在するノード数が多いもの
しかし、このどちらも、局所的にホップ数の大きな経路ができてしまう可能性があるので、これらの手法を適用した後にホップ数を考える。
25% くらいフレーム長 (送信に必要なタイムスロット数) が削減できる。
手法間の比較をもうすこしがんばってー。こういうの、ぱっと見すぐ終わっちゃいそうな研究かと思ったんだが (すみません…)、いろいろ掘り下げるとかなり面白そうだ。
[ MANET におけるノードの隣接関係を基にしたルーティング手法の提案 ]
MANET = Mobile Ad-hoc NETwork. マルチホップ通信。
センサネットワークもそう。で、この手のものの多くはバッテリ駆動。
ぬおーん。途中で仕事の電話がかかってきてしまった。
MBC というこの手法をやるために、いろいろ negotiation をするのでパケットが増えてない? → フラッディングしない、というのがポイントで、そこで減っていると思うのですが → フラッディングに相当することを各ノードがやっているのでは…
[ 無線マルチホップ網における隣接ノード間連携に基づく自律的バーストアクセス制御 ]
無線マルチホップ網における TCP 通信の公平性とか。
送信権を獲得するために backoff algorithm を使うと、毎パケット backoff time 分待たなければならないので、その分スループットが低下する。802.11e では RTS/CTS (request to send / clear to send) を使って TXOP limit と呼ばれる時間までバースト転送を行うことができる。しかし、ネットワークの状況変化に対する適応性がないこと、送信権の獲得が乱数に基づくこと、が問題。
一定の時間ごとに隣接端末間でのパケット転送数の目標数を設定し、送信を行うときにはその目標と実績を照らし合わせて転送サイズを決定。
この方式のキモは、個々の端末が知りうる局所情報だけを用いて制御するところ。
隣接ノードのネゴシエーションが結局 backoff 時間分になっちゃうのでは? → RTS/CTS のパケットに情報を付け足すだけだから、たいしたことないです。通信当事者だけでやるんで、全体にデータが流れたりすることはない。
どれくらい公平性が上がったか、あるいはスループットが向上したか、といったところをもうちょっと評価したらいいのでは → がんばります。
[ 家電製品のネットワーク化の展開に関する一検討 ]
白物家電のネットワーク化。いろいろあって結局のところ普及していないが、細かいエネルギ管理に使えるのではないか?
ネットワークセキュリティが心配だが、ネットワーク化されるとメーカはどこでどれだけ使用されているかが把握できるので、製品リコールなどのときの対応が容易なので、そのあたりの安心感がセキュリティリスクを越えられるか?
[ SDH/OTN 統合ネットワーク管理方式の一考察 ]
OTN が拡がってきているが、既存のサービスを収容するための SDH もまだまだ重要。そこで、OTN と SDH を相互接続する必要性が出てきている。
Ring in Ring: SDH のリングが実際には OTN のリングに収容されているようなトポロジ構成。
SDH で何ホップかあるような場合に、SDH 装置を順番に通っていく必要があるので、何度も SDH と OTN を行ったり来たりする。
[ ホームネットワーク故障切り分け方式の検討: 効率的な故障診断のための可視化 ]
Flet’s みたいなサービスを保守するための可視化ツールの話。流れているパケットを眺めて、どういう機材がつながってるのか、NAT がどういう構成になってるとか、そういうのを情報収集する。
むーん。
こういうの作るのは難しいな。わしゃ、中がどうなってるかわからない機材が家の gateway になっているのとかが我慢ならないので、家の出入り口は FreeBSD なわけですが。というかまあ、そういう、自分で故障診断する人はどうでもいいのか。
セキュリティも大事だが、こうやって局側から診断してくれるサービスのための何か、というのも必要だな。
[ ASパス詐称経路ハイジャックの検出手法の検討 ]
AS = 自律システム。
つまり、間違ったルーティング情報を (故意にしろ不意にしろ) 流してしまって事件が起きる、というのを検出したりする。
これには、隣接関係を評価すればよい。
同じ subnet を名乗るやつが二つ現れた場合、検出はできるが防御はできない。妥当性の評価は隣接関係で行う。
事例としてはどんなのがある? → パキスタン政府がパキスタンの ISP に対して youtube.com への経路をハイジャックするように指示し、その経路情報が間違って外に出ちゃったことがある (うひー)。
IRR にはどんな情報がある? → 現状IRR にはだいたい下流の AS しか入れていないが、この手法が有効であることを主張して、みんながすべての隣接 AS を入れるようになればいいと思う。
[ インターネットバイパス網のアドレス構成に関する考察 ]
コネクション型のネットワークに IP トラフィックを載せる。IP アドレスをネットワークのトポロジに対応した転送アドレスに変換すれば、交換機の負担を軽減することができる。
しかし、マルチキャストはやっかいだ!
バイパス網のほうが輻輳しちゃって、バイパスしなければよかった、ということになったら? たとえば、トラフィックが増えてきたらバイパス網に回すとかすればいいと思うが → その場合にはふつうの IP のほうを圧縮して対応するが、どうしても足りなくなった場合のことはこれから考えなければならない。

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