最近気になっているので、書いておこうと思う。
ひとつは、環境に対する製品ライフサイクルコストのこと。
たとえば、ハイブリッド車を買う。自分が使うガソリンは少なくて済む。
だけど、製品を作ったり、廃棄するには、その差分以上のエネルギーがかかっているかもしれない。というか、多くのエンジニアは直感的にそう信じていると思う。
ハイブリッド車は、技術開発の方向性としては正しいし、それを買い支える社会も必要だ。だが、それで「いいことをした」と思ってはいけない。だって、乗らなきゃそもそも発生しないコストを生んでいるのだから。
自分の手を汚さないことと、子供たちに借金を残さないことは別。
もうひとつは、バイオエタノールのこと。
掘り出してきた石油を燃やすよりは、空気中にあった二酸化炭素からできてる植物由来の炭素を燃やす方が、二酸化炭素の増加率は押さえられる、という話だ。
でも、食糧難で苦しんでいる人たちがいるのに、トウモロコシとか米とか、そういうデンプンを材料にしたものを燃やすってどうよ? 実際、世界中でトウモロコシの価格が急騰しているらしいし、そもそも、地球上の穀物生産量はほとんど増加していない (むしろ耕地が灌漑による塩分の蓄積なんかで使えなくなり、減少に転じる方向らしい)。で、日本では養鶏業者が飼料代高騰に耐えられずに、どんどん倒産しているのだそうだ。
人間はセルロースを分解できないので、稲藁とかそういう、収穫後に余る部分を原料にできればいいんだがね。デンプンをベースにするのが酒を造るテクノロジの応用なのに対して、セルロースを元にするのは新しいテクノロジの開発になるので、難しいのはわかってるけど。
いわゆる「理系の人たち」は、こういうことを理解してちゃんと周りのひとに伝える義務があると思うわけです。どうでしょう。