TOJ とか (stage 2: 飯島→飯田 (TOJ周回コース)→飯島

8時40分くらいにスタートで、飯田までは自転車で行ったことがないので、6時に宿を出ることにして、5時頃起きて、荷物をまとめたりとか、準備をがさごそ。そうこうしているうちに6時を過ぎてしまい、フロントの支配人さんから「朝ですよー」と内線がかかってくる。ご親切、いたみいります。
昨日まで、飯田へはどうやっていこうかなー、と思ってちょっと迷ってたのだが、夕方県道18号を走ったときに、18号経由で行くことに決めた。18号は、天竜川の東側を走る県道で、ちゃんとセンターラインがあるところもあるが、場所によっては崖っぷちで、自動車のすれ違いがやっと、というところもある。しかし、けっこうフラットで走りやすいし、景色はいいし、舗装状態も思いのほかよいのだ。片道 35km.
フロントに荷物を預けて、飯島駅前から日曽利橋へ向かって一気に下る。天竜川沿いの谷間には視界が悪くない程度の朝靄がかかっており、その中を突っ走るのは非常にいい感じだ。18号に入ってしばらくすると朝日がさしてきて、木漏れ日がきれい (写真は昨日のだけど)。
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中川村に入って、淡々と走る。下り基調であり、けっこう快調だ。地図なんか持ってないので、途中川の西側にわたるところでは道を間違えたんじゃないかー俺ー、と、ちょっとびびったが。
川を渡って松川町。すぐ東側に戻る。松川から豊岡村あたりは、高校時代に歩いたこともあり、ちょっぴり懐かしい。松川町はすぐ終わりだ。で、豊岡村に入ると、道も広くなって、わりと街中を通る感じになる。学校にいく小学生に挨拶されたりしながら、35〜40km/h くらいでガンガン飛ばす。途中で、中学生くらいの、ドロップハンドルの自転車に乗った少年が「うお、なんかすげえのきた!」みたいな感じで目を丸くしてた。そりゃまあ、気合い入りまくりのチャリで気合い入りまくりの奴がぶっ飛んでいくのを見たことはないかもね。でも、今日は 10km 先で日本一速い連中が世界を相手に大暴れするんだぜ?
豊岡村から喬木村。喬木村は一瞬で突き抜ける感じで、すぐ弁天橋だ。弁天橋からはすぐ、TOJ の周回コース。そのまま天竜川沿いを突っ走る。
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おお! 補給地点の看板が!!
で、そのまま山岳ポイントへ。途中で地図をみてるおじさんに声をかけて、「どうぞお先に」と先を譲るが、逆に譲られてしまって引くに引けず、ガンガン上る。マジでしんどく、途中で一度脚をついてしまった。一応おじさんには追いつかれずに逃げ切り、山岳ポイント手前で家族連れを追い抜く。山岳賞だぜイェーイ!とか、そういう感じではなく、これ12周もすんのかよ、という心境だった。
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山岳ポイントで、スタッフの人に観戦マップをいただいた。とりあえず一周するかー、ということで反対側へおりる。山岳側のコースは広域農道なんだが、景色がすごいんだ!写真とらなかったけど。
途中間違って 256 号線を下ってしまって、うおー、こんな急勾配で狭いワインディングを集団で下るのか、プロはすげえぜ!と感心していたら、やっぱり違う道だった (笑)。急、といっても、せいぜい 7% くらいだろうか、上り返して正しいルートに戻る。がーっと走って、弁天橋のところに戻って、一周。そのまま水神橋まで。交通規制前で、周回コースを出る車が列を作っていた。
どこで見ようかなー、と迷って、結局駄科駅から川を渡ってきたあたりに落ち着く。近所の人たちがぞろぞろ出てきて、いい感じだ。そのうち小学生やなんかも、大挙してやってくる。そりゃ、近所でこんなのやってるんだったら、授業なんかやってる場合じゃないっすよ。
最初の周回がやってくるまでにけっこう時間があって、近所のひとたちといろいろ話す。一番感動したのは、近所のオヤジが「最近女房と、あれか?イタリアか?自転車のレース、テレビで見てるんだけどよ、あれ、めちゃめちゃ面白いな!」と話してくれたことだった。日本でどうしたら強い奴が育てられるか、そんな話で大いに盛り上がる。
そうこうしてるうちに先導車がやってくる。さあ、盛り上がって参りました!!
先頭は福島、柿沼とあと外国の誰か (笑)。うおー、平地での逃げなんか、速すぎて写真とれませんよ! (↓というわけで、QuickTime Movie とってみた。クリックすると再生する)
Toj
応援の小学生たちの前を通り過ぎる集団。
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なんかこう、あー、俺の街にもこうやってレースがやってくるようになったんだ、と思うと、すごく嬉しかった。俺の住んでる街じゃないけど。
僕以前にも、18号を全力で駆け抜けていくサイクリストはいただろうし、
ロードマンかなんかに乗って、そういう大人に憧れる少年はいただろう。
だけど、それだけじゃ何も変わらなかったんだ。
この国じゃ相変わらず、自転車競技はトラック (=競輪) だけで、
ロードレースなんて誰も知らなくて。
そこらのオヤジが、「自転車レースって面白いな!」と大興奮でしゃべったりとか、テレビの中継を見て沿道に出てきたオバチャンが「山岳ポイントって何?」と、UCI のポイント制度について僕に説明を求めたりとか、中学生と引率の先生が、はじめて見る (停まっている) ロードレーサーを見て僕にいろいろ質問したりとか、小学生たちが目の前を通過する集団の迫力に息を呑んだりとか、
ああ、こうして世界は変わっていくんだ、と思った。
そしていつか、この街から未来の日本人レーサーが出るんだ。
これだけ大胆に道路を封鎖してレースをやる、というのは、この国ではとても大変なことだと思う。行政と住民の協力を取り付けることが、どれだけ大変だっただろうか。
それでもレースを誘致して、市のイベントとして育てたい、
という飯田市の決断には敬意を表したいと思う。
今年は美濃ステージができて、来年また、新しいステージが増えて、いつか Tour de France みたいに、全国の市町村が誘致合戦をやるようになったら、最高じゃないか。
僕らにできることは少しずつだけど、たくさんある。
そう、たとえば、ちょっと遠くのレースでも頑張って応援にいって、地元の人たちと自転車の話をしたり、それだけでもいい。
で、レースの話に戻ろう。
先頭の逃げは一旦4分差ほどが開くものの、徐々に後続が追い上げてくる。
僕は、そばで見ていた地元のおじさんに、県道1号からぐるっと上の方に回り込む道があることを教えてもらって、途中から山の上に移動することにした。道があることを教えてもらっただけで、道は教えてもらわなかったので、だいぶ迷ったのだけれど、景色がとてもよくて、それはそれで楽しいサイクリングだった。山を越えることになって、坂がすごかったけれど。
途中で通行規制の看板を見つけて、あー、道あってたんだー、と思う。
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コースへ向かって下る途中で、農家のおばちゃんたちと雑談しながら、遠くを通過する集団を1枚。
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山の上だったが、下から歩いて応援にきている人たちもかなりいて、ここでもいろいろルールやら自転車について聞かれた。
しばらくすると下の方で歓声が上がって、選手が上がってくる!山岳だぜ!イェイ!
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先頭は福島・柿沼。
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集団も上がってくる。
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集団の傍らには脱落していく選手もいたり、
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遅れていきながらも必死に食い下がる選手たちもいる。
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後続集団を待つ浅田監督。本物の浅田監督が乗ってるぜ!うおー!
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一緒に応援してたみなさん。自転車に乗るわけでもない、ふつうの人たちなんだけど、すごく熱かった。
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レース終盤、リラックスした雰囲気の日本人集団。
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それから三船選手。結局最下位だったけど、マジでかっこよかったです!!
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山を越えるのはしんどいので、1時半ごろ、交通規制が終わってからコースを下って、そのまま来た道を戻る。応援の人たちはもういなくなっちゃってたけど、片付けをしている警備のスタッフや、追い抜いていく車の人たちが手を振ってくれたりするのがなんだか、嬉しかった。
途中のお店で玄米パン (堅い蒸しパンなんだけど、あれって東京にはないのかな? ちょっと甘くて、僕は大好きで、こっちで見かけたら必ず買います) を買って、食べながら走る。お昼食べてないし。
帰りの 18 号は上り基調。特に、中川村に入ってから、長い長い上り坂がある。
坂の下で、農家のおじさんが、「おー、がんばれよー!」と声をかけてくれた。
ありがとう!そのひとことだけで、僕はいくらでも上れます。
たとえボトルの水が空になりかけていても。
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これは中川村から望む中央アルプスで、
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これはたぶん、飯島町に入るか入らないかのあたり。
自転車っていいな、と思った。
見ず知らずの人が励ましてくれて、
上りはきついけど、その先にはかならず下りがあって、
同じ道を何度走っても、そこは決して同じ景色ではなくて、
コーナーを曲がった先には、とても写真にはできないような、
眩しい風景が広がっているんだ。
(ここで終わるとちょっとかっこいいんだけど、あとは、ちょっと蛇足)
日曽利橋を渡って、飯島駅のそばの踏切まではひたすら上り。
テンションはすごく上がってるんだけど、脚がついてこないので、
39×27 をゆっくり回して上がる。
復路もだいたい 90 分だった。ちゃんと計ってないけど。
宿で荷物を受け取って、お風呂に浸かる。
日焼けがすごくて、腕はお風呂に入れられなかった。
宿の人にも「焼けましたねー」って。
ちょっと早い電車に間に合いそうだったので、急いで駅へ。
飯田から歩いてきた、というおじさんと出会った。
僕は朝6時に、ここを出発して、飯田へ向かい、いま戻ってきた。
彼は朝6時に、飯田を出発して、いまここについた。
歩くのもいいな。
それぞれの、旅。

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