[次世代シーケンサによる新規マラリア原虫ゲノムの解読]
– P.falciparum (熱帯熱マラリア)
– P.vivax (三日熱マラリア) 薬剤耐性のが出現。P.cynomolgi, P.knowlesi など、アジアサルマラリア原虫に近縁。肝臓休眠期があって治療が困難。未熟な赤血球に好んで寄生するため難培養。
– P.vivax ヒト
– P.knowlesi サル・ヒト 肝臓休眠期なし
– P.cynomolgi サル・ヒト (P.vivax にもっとも近縁)
P.cynomolgi を読んで3種間比較ゲノム解析を進めている。
454FLX と GAII と Fosid. P.vivax をリファレンスとしてアセンブル。真核なのでわりとしんどく、次世代シーケンサでの真核の新規ゲノム解読はおそらく日本初。
予想ゲノムサイズ 27Mbp で、現在 22Mb 。Scaffold 数は染色体と同じ 14 本になっている。
9割の遺伝子 (4649) は3種間で保存されている。
保存されてない遺伝子は 1298. そのうちアノテーとされているのは半分で、そのほとんどが多重遺伝子族。
赤血球進入関連遺伝子と宿主域との関係が興味深い。
[メタゲノム解析から見える下北半島沖地下生命圏生態系]
海底1000mくらいまで何カ所かでボーリングしている。1cm^3 あたり 10^6 〜 10^7 くらいの微生物がいる。
深度が深いサンプルほどとれる DNA 量は減少するが、rRNA の種類はあまりかわらない? 深いほど多様性が上がるのかも。
CO2 から Acetyl-CoA まで持っていく嫌気的な代謝回路とかが推定できた。
抗酸化システムも酸素を発生しない、嫌気的なパスウェイに関連する遺伝子が多数。
[イネ共生細菌の群衆構造解析]
イネ科とマメ科の共通性と相違性は?
植物はエンドファイト・エピファイト・根圏微生物を制御しているのではないか?
マメ科では根粒菌形成、菌根形成を制御する植物-微生物のシグナル伝達系があり、イネにもホモログが存在している。
イネの CSP 遺伝子型に依存する属がある (劣性ホモだと菌が増えない)。
エンドファイトや根圏微生物の細胞をうまく濃縮してとってくる方法を開発。濃縮した場合とそうでない場合で出てくるグループがちょっと違う。これは、土壌に強く attach しているやつなんかが土壌と一緒に落ちるからではないか、とのこと。つまり、scope は違うけど両方正しいのかな。
rRNA と nifH (nitrogenase: 窒素固定遺伝子) でグルーピング。
根まで入れると大変なので地上部のメタゲノム。
[高温発酵コンポスト及び原料汚泥の最近群衆構造解析]
下水汚泥の余剰分をコンポスト化する方法がとられはじめている。高温堆肥化法 (80度以上で発酵させる!)。高度好熱菌の関与がありそう。
高分子汚泥、消化汚泥、石灰処理汚泥では嫌気性の菌が多いが、コンポストでは好気性のが多いので、高温発酵のところで大きく変わるのかも。ただし、出てきたのは中等度好熱菌で、高度好熱菌は見つからなかったが、これは実験の sensitivity が低いからか、あるいは分類が悪くて実際には中等度ではなく高度好熱菌なのかも。
[大腸菌多重遺伝子欠損株の解析によって明らかになった中心炭素代謝の新経路]
中心炭素代謝回路の70遺伝子中、必須なのは (glucose が炭素源の場合) 4遺伝子だけ。
バイパスがいろいろありそう。wet 実験と同じことを計算機シミュレーションでも実施。
ふむむ。dry のほうはそこまでモデリングできるものかな?
[半定量的発現プロテオミクスによる芳香族分解の代謝経路解析]
ラベルフリー法、というのでタンパク質定量 (MS/MS スペクトルの数を使う) を行い、サンプル間比較。emPAI という指数を使って、タンパク質混合物中にそれぞれのタンパク質がどのくらいの量で存在しているかを相対的に知ることができる半定量法。
Pseudomonas putida F1 を使用。5.96Mbp, 5250proteins. ベンゼン、トルエン、エチルベンゼンなどを分解できる。
どんな芳香族を入れるか・入れないかで発現が変わる様子を測定。ゲノム上のどこのタンパク質が出てるかを見られるのって面白いなー。
[トリコスタチンA処理の Aspergillus fumigatus におけるゲノムワイドヌクレオソームマップ解析]
TSA treated / untreated でヒストン脱アセチル化酵素に発現をみると、treat したほうがたくさん出ている。そのほかのヒストン関係の遺伝子もみてみた。
TSA treatment によってヒストンに巻き付く長さが増える。プロモータのところでは位置が重要で、ボディではそうでもない?
[大規模な逆位による染色体再編を利用した染色体機能領域の解析]
複製終了領域が細胞分裂時の染色体分配に非常に重要であることを発見!
複製開始点は両局に移動し、終了領域 (Ter domain) は細胞中央に局在するが、後者はただ引っ張られていると思われてきた。
変異株で Ter domain を分断すると染色体分配能が失われ、染色体を持たない無核の細胞が高頻度に生じる。
[非分化性の社会性アメーバAcytosteliumの遺伝子解析]
植物でも動物でも菌類でもありません。
概ね昨日お伺いしたとおりで、持っている遺伝子はだいたい同じだけど重複遺伝子の数が違うので、そのへんに注目しているよ、とのこと。