大阪・出雲市・高松・大分・熊本方面。
今年に入ってからのダイヤ改正で、「さくら」がなくなったり、夜汽車がだんだん減って、
長崎とか佐世保とか、西鹿児島とか、そういう地名が消えてしまった。
小さい頃、ブルー・トレインといえば、大部分の、ちょっと電車とかが好きな男の子にとっては、
憧れの存在で、山手線の品川ー田町あたりから見える車両基地をみてわくわくしたりしたものだ。
新幹線や高速バスといった交通網が発達したからなのか、移動する時間を大切にする旅をする人が減ったのか、
あるいは JR が古い車輌をいつまでも使っていたからか、いずれにしても乗客が少ないため夜行列車は激減して、
もう、ほとんどなくなってしまった。
高校生の頃から、ずいぶんあちこちに行くようになって、
東海道本線の夜行の大垣ゆきはもちろんのこと、
中央本線を新宿から松本方面へ抜ける急行アルプスだとか、長野から大阪へゆく急行ちくまだとか、
そういった夜汽車にもずいぶん乗った。当時はまだ、「ちくま」は寝台急行で、
僕はいちばんうしろの座席車だったけれど、素敵な列車だった。
「ちくま」はふつうの特急用電車になって、「アルプス」はもうない。
先日の広島への出張では往復に「サンライズ出雲」の個室寝台をはじめて使った。
夏だというのもあるのだろうけれど、乗車率はかなりのもので、充分採算がとれていそうだ。
個室には電気カミソリ用の電源があるから PC も使えるし、シャワールームなんかもあって、
非常に快適。電車だから、機関車がひっぱるのと違って、ちょっと騒音があるけれど。
下りは朝6時半に岡山、上りは朝7時に東京に着く。仕事にもちょうどいい時間だ。
最終の新幹線に乗ってホテルに一泊、よりは安いし、寝られる時間も長い。
朝、目が覚めると列車が知らない街を走っている、というのはとても素敵だ。
飛行機や新幹線では決して味わえない、「遠くへきた」ということの実感。
いつの間に僕らは、移動する時間を「もったいない」と思うようになったんだろう。
そういうのって、心が貧しくなっていることの表れなのかもしれない。