南信州峠アタック: 2日目

ホテルの朝食は9時までなので、7時に目覚まし。7時半頃ごそごそと起き出して、いろいろ準備をして、それからご飯。自分で選べるようになっており、たくさん食べられて、よかった。なにしろ一日自転車乗ってる間だけで 3000kcal なので、リカバリを考えれば 24 時間で軽く 6000kcal 以上必要な感じ。
そうそう、自転車は駐車場に置かせていただいたので、屋根もあって安心だった。
10 時ぎりぎりになってチェックアウト。今日はいつものホテル陣屋さんに泊まる (1日目は満室だった。繁盛しているようで、何よりです) ので、153号を飯島まで南下して、荷物を預ける。確実に 8bar まで入るポンプとはここでお別れなので、空気圧なんかを軽く点検。
駅前まで出て、日曽利橋へ下って、そこから昨日上がってきた竜東線 (県道18号) を下る。このあたりの竜東線は細くてカーブも多く、見通しの悪い区間が多いのだけれど、それはそれで趣があり、天龍川がきれいに見えたりして、けっこう好きだ。ただ、疲れている時に乗ると、不意に対向車が現れたりして、けっこう危ないので、気をつけないとね。
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駒ヶ根から中川村あたりまではこんな感じのところが多い。
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強烈な登りのある中川村の一箇所を除けば、比較的平坦で、走りやすい。
しかし、走り出してみると、脚には昨日の疲れがかなり残っており、登りがきついし、平坦路でも全開で走るのはキビシイ感じ。サラ脚なら、飯田市に入るまで1時間かかるか、かからないかだけれど、これはどうなるかなあ。それに、サドルに当たる部分の皮膚が若干擦れており、座っているだけで痛い。昨日オロナイン塗ってねたんだけど、ダメだったか。
そんなこんなで、中川でスーパーリアルかかしを目撃してぎょっとしたり、
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「パルム豊丘」の「びぜんや薬局」で相談して軟膏を買ったり、
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比較的のんびり南下する。一度天龍川の西側に渡ってまた東に戻る、生田の発電所あたりからは道も広くなって、快適。信号もほとんどないし、小さな街をいくつもつないでいくのが、なんともいえない趣で、この道は大好きだ。
豊丘で買った軟膏はかなりご機嫌な感じで、ときどき休憩のときに塗ったりしているうちに、だいぶ調子よくなった。そんなこんなで、12時まえに飯田のりんご並木に到着。天龍川渡ってからはけっこう登りなので、しんどかった。とはいえ、飯島から1時間半なので、かなり疲れていたとはいえ、まあまあのペースで、ぼろぼろではない感じ。PowerBar かじったり、水飲んだりして休憩。
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そうこうしているうちに、小雨が降ってきたけれど、まあ大丈夫でしょう。駅前のローソンで飲み物とおにぎりを買う。おにぎりは二つ買って、例によってひとつは食べて、一つはポケットへ。ローソンの店員さんと、これから大平上がるんですよ、という話をした。自転車でいくなんて信じられないよ、と笑うおばちゃん。でも行くんです。坂はともかく、クマに食べられないようにしないとね。
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大平街道の起点は、ローソンからちょっと下って、右へ曲がったところ。街道の起点、というのはなんだかワクワクするけど、当分登りだと思うと、それはそれで…
飯田線の踏切を渡って、中央道をくぐって、ひたすら登る。砂払温泉のあたりで、反対車線を自転車で逆走中のおじさんをぶっちぎる。けっこう脚に来てるが、まだまだ行けるな (笑)。多摩川精機の工場を過ぎたあたりから寂しい道になって、大休、というところでひと休み。
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ちょっと登ると、猿庫の泉の入り口にたどりつく。ここ、けっこう景色いいのね。
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泉まではけっこうな登りなので、今回はパス。
案内板の脇に、「大平街道」の碑が建っていた。明治の改修のときに建ったもので、もともとはさっきの大平街道起点にあったものだそうな。
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さらに登り。それほど勾配のきついセクションはなく、全般的に走りやすい感じ。元気だったら、もっとぐいぐい行けるなこれ、と思った。ひと桁県道なので、路面状態もいい。問題はクマが出そうだということくらい (笑)。
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でも、ときどき電力やら電話やらダムやらの自動車が通るので、まあ、それほど危なくもないでしょう。
写真はとらなかったけど、小さな沢を渡るごとに「ここは○○」という看板が立っているのが、非常に heart warming で、よかった。たまに「飯田峠まであと○km」とか書いてあるのも、心強かった。
猿庫の下にはダムもあるので、大きな川を渡るところもあり。でも一箇所だけかな。
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この写真の橋の手前はしばらく下りで、そのあと登り返すわけで、それはそれはつらかった。
山また山、という景色の中をずーっと走って、
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そのうち唐突に飯田峠の看板が現れる。1235m.
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峠には、猿庫にあるのと同じような、立派な碑が建っていた。飯田線が通る前はみんなここを歩いて越えて、中央線に乗ったという。歴史ですなあ。
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大平宿までは下り。昔、火災があって集団離村があったのだけれど、宿場は保存されていて、人もいる (夏場だけ?)。
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黒川という川が清内路のほうへ流れている。橋の上で川を眺めながら、さっきのオニギリ。
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ここで雨が降ってきて、引き返すか進むかちょっと迷ったのだけれど、予報ではそれほど降る訳でもなし、まだ午後3時で、時間はまだ充分にあるし、先へ進むことにする。飯田峠から宿場までは 100m ほど標高が下がるだけなので、1358m の大平峠 (木曽峠ともいうんですね) までは 200m ほどの標高差。距離にして 5km くらいで、それほどしんどくない。
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それほどしんどくはないものの、1358m で雨、というのはけっこう寒い。おなかを冷やすと下痢になったりしてアレなので、ここからタオルを入れて走る。峠のてっぺんには短いトンネルがあり、抜けると南木曽町。「南木曽」という響きで、なんとなく、ああ、遠くにきたなー、という気持ちになる。
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そして、トンネルの先は霧だった。視界が悪い、というほどではないけれど、ブレーキが濡れたりするわけで、慎重に降りる。途中で自転車とすれ違った。みんな登るなあ。
2km ほど下ると、木曽見茶屋というお店がある。
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ここは、名前の通りに木曽の谷がすごくよく見えるんだけど、今日は霧です。残念。
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山菜蕎麦をいただきながら、お店の女将さんといろいろ話す。最近は自転車の人がたくさんくるんだそうだ。近くにこんな峠があったら毎週行くなあ、と思う。いいよね… けっこう長居してしまった。あとで聞いたのだけれど、ここのおでんがおいしいのだそうで、次回はおでん。それから、普段は木曜金曜はお休みだそうで、夏の間の特別営業だそうな。気をつけなきゃね。
6km ほど下って、256 号線へ。妻籠のほうにも行ってみたいな−。くぅー。
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256号線に出たばかりのあたりは、お土産物のお店なんかが並んでおり、水筒が空になっていたので、そこで水を買う。また登りなんでね。
清内路トンネルまではけっこうな登り。雨も本降りになってきた。トンネルは 1500m くらいだったかな。長い上に、照明のない区間もあって、ヘッドライト必須な感じ。怖いけど、交通量がそれほどでもなくて、よかった。
抜けたら曇りでした。はじめての阿智村。
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もう、あとは基本的にずがーっと下り。下り。下り!!!!! 気持ちいいです。景色もいいしね。
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なんというか、こういう立体的な風景というのは、東京では決して見られないんだけど、いいね。住むのは大変だけど、幸せだと思う。
それで、雨の中走ったりしたので、脛のあたりは砂がついたりして、けっこう汚れている。飯田についたら和菓子屋さんにいったり、もしかしたら中央構造線サイクリング大会で仲良くなった方々とごはん、という話もあったので、汚れたままじゃ嫌だなあ、と思っていたら、昼神温泉のあたりにさしかかった。そういえば温泉あるんだ、立ち寄り湯はあるかなー、と思っていたら、ちゃんと公営のがあった。タオルも売ってる。ラッキー。
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お湯はとろとろで、とてもいい感じ。でも、まだまだ走るので、あんまり長く浸かれない (時間もないし、運動中に過剰に暖めるのは、よくないのでね)。脱衣場で服をきていたら、おじさんに話しかけられた。Tour of Japan の南信州ステージを観に行ったんだ、自転車はすげえな! がんばれよ! とのこと。ToJ を観に行った、というのは、このあたりを走っているとよく言われることなのだけれど、ああ、ここは日本だけどロードレースにみんな興味もってくれてるんだな、と嬉しくなるね。
昼神温泉を出てしばらく下って、153号に合流。いよいよ飯田市。このあたりからアップダウンの繰り返しになって、2日で山5つ越えた身体には、とにかくきつい。中央道の飯田山本インターあたりでは、一度歩道に避難したりしながら、必死に走る。
… とその時。
後ろから、クラクションを、ぱぱぱぱぱぱぱー、と鳴らされた。
こういうときに、なんだコノヤロウ、こっちは必死に走ってるんだ。でも迷惑かけちゃいないぞ、というのは、サイクリストなら誰しもが思うことに違いない。が、もちろん狭い道を自転車が走っていれば邪魔になることもあるわけで、そこは大人の対応で、後ろを振り返って、すみません、という感じで手を挙げる。
… あれ?
運転席から手を振られたよ。てゆか、くま☆さんじゃないですか!! どーん。
「いやー、見たことあるジャージが走ってると思ったら、長名さんじゃないですか」と、お仕事中なのに車を止めてくださいました。しばし立ち話。それで僕が、「そういえば今夜ヒマだったらご飯行きましょうって、京介さんと話してるんですが、連絡ないんですよー」というと、電話までかけてくださった。しかし、出ない (笑)。そして、携帯電話置いたままどっかいっちゃった、というところまで判明。その先の自動車屋さんにいるかも、ということで、行ってみたものの、ちょうど行き違いな感じで、しばらくそこにいたら連絡がついて、あとで鼎でご飯食べにいきましょう、ということになった。くま☆さんも来てくださるとのことで、彼は仕事の続きへ、僕は飯田方面へ。
あとは下りだけだった。153号をずがーっと下って、飯田 IC へ入る方向へ右折。インターの前を下って、名古熊中央を左折して、APITA のあたりを通って、「赤門や」さんへ。自動車屋さんなんかでずいぶんのんびりしたので、時計は19時を回っていた。
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お抹茶と赤飯饅頭をいただいて、ひと息。女将さんといろいろ話す。昨日今日走ってきた道のこととか、このあたりの水源のこと。飯田中央通りにお店があった時は水道の水がよかったけれど、引っ越してきたら水源が違ってお店のお菓子には合わず、井戸を掘ったとか、そんな話。
鼎の駅に行く時間になって、荷物は持っていけないので、ひと箱家に送っていただくことにした (自宅に戻って受け取ったら、お手紙まで添えていただいて、ありがとうございます)。駅まではずっと下り。駅前で京介さんと待ち合わせて、大雅飯店へ。一度行ったことがあって、おいしかったのだけれど、ここはやっぱり有名みたい。
で、大雅飯店の焼肉定食。
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ものすごいボリュームで、おいしくて、大満足。これは、山走ったあとにいいかも…
ちょうどごはんが出てくる頃にくま☆さんも合流して、9時くらいまでひとしきり自転車談義。楽しかったです。ありがとうございました。
お店を出たら雨で、後輪を外して京介さんの車に乗せていただくことになった。輪行袋もってきてたのだけれど、車で送ってくださるとのことで、ありがたい。車内では、自転車で旅をするのは本当にいいよねー、とか、竜東線大好き、みたいな話をいろいろした。なんかこう、こうやってまた信州に仲のいい人が増えていくんだなー、と思って、嬉しかった。
宿には10時頃到着。僕のバックパックは既に部屋に運んでくださってあり、荷物を整理してお風呂をいただいて、12時頃布団にもぐりこむ。ほんとうはもうちょっとゆっくり楽しみたい宿なので、もったいないんだけど、短い時間でも落ち着ける場所に泊まるというのは、やっぱりいいね。
100.95km、平均時速 21.9km/h、走行時間 4:36:17。

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